開催にあたって
これからの日本の経済成長を実現するためには、革新的な製品やサービスを提供するベンチャー企業を育成し、産業の新陳代謝を活性化することが必須です。そして、ベンチャー企業の育成のために最も重要な方法のひとつとしてIPOがあります。
我々公認会計士は、IPOを目指す企業に対して、監査人として財務情報の信頼性を担保することにとどまらず、内部統制、コーポレート・ガバナンスなどの社内体制の構築支援を通じて貢献してまいりました。最近では、経営者や社外役員としてベンチャー企業の成長に貢献する会計士も増えています。
IPOを巡る足元の情勢は、新型コロナウィルス感染症の影響等により上場延期を発表した企業もあったものの、企業の上場意欲は依然として高く、2020年6月以降は件数が増加し、2021年の上半期(1~6月)時点の上場件数は53社となっており、昨年と同程度以上の上場数が見込まれております。監査法人別の傾向では、準大手監査法人や中小監査事務所が監査人である企業の上場が着実に増加しており、IPOの新たな担い手として中小監査事務所に大きな期待が寄せられています。
こうした状況を踏まえて、本年のフォーラムは、IPOの担い手となる中小監査事務所に焦点を当てたプログラム構成としました。本フォーラムがIPOマーケットの関係者の皆様に、公認会計士のIPOに対する様々な役割をご理解いただく場となるとともに、円滑なIPOを実現する環境整備を促進する機会となれば幸いです。
日本公認会計士協会会長 手塚正彦